債務整理って何が必要なの?
借金の返済に苦しんでいる場合、借金そのものを帳消しにしたり利息金や遅延損害金をカットしたりするといった、法的に認められた手段をとることができます。この方法を「債務整理」といいます。債務整理は貸金業者や裁判所に対して手続きを行うため、提出しなくてはいけない書類などが複数あります。債務整理をするにはどんなものを準備すればいいのでしょうか。
ちなみに、債務整理の方法には何種類かあって、どの方法が適しているかは借金や個人の状況によっても変わってきます。債務整理の方法ごとに、必要なものをまとめていきましょう。
任意整理をする場合
任意整理とは、債務整理のなかで最もよく利用される手段です。ほかの方法と違って、裁判所へ訴える必要がなく、貸金業者と債務者が直接交渉を行うことで借金返済ができるように、利息金や遅延損害金を整理します。
裁判所を通さない任意交渉なので、法的な縛りも存在せず手続きのための条件などもありません。その代わり、借金元本を減額することはできませんので、高額な借金の解決方法にはあまり向いておらず、貸金業者を選んで借金を整理したい場合や借金の滞納によって利息金や遅延損害金が膨れ上がってしまったという場合に利用されることが多いようです。
場合によっては借金を整理後、3年程度の長期分割返済にも対応してくれますので、無理なく完済を目指したい人におすすめの債務整理です。
任意整理で必要な書類
司法書士に相談するためには、まず以下の書類を用意しましょう。
・身分証明書(免許証など)
・認印(シャチハタ以外)
・借入や返済に使用している口座の通帳
・すべての金融会社との取引契約書
・金融会社のキャッシングカード、クレジットカード
・利用明細書や返済時の領収書(手元に残っている場合)
・過去に取引のある貸金業者の一覧表
・収入証明書(給与明細書や源泉徴収票)
・資産関係(不動産、保険、退職金の額の分かる職務規定など)
・家庭の収支の状況が分かるもの(家計簿や光熱費・通信費などの領収書など)
最近では、任意整理をする際には過払い金の有無もいっしょに調査するようになっています。そのため、任意整理をする貸金業者との取引内容だけではなく、過去に取引があったすべての貸金業者との取引内容を把握しなくてはいけません。10年以内に取引があった貸金業者であれば、過払い金が発生していた場合「過払い金返還請求」によってお金を取り返すことができますので、過去に取引のある貸金業者の一覧表は漏れがないように注意しましょう。
なお、任意整理は司法書士などの専門家に依頼せずに、自分で貸金業者と直接交渉することも可能です。その場合には、身分証明書や収入証明書、資産関係の書類などは必要としないこともあります。しかし、自分の借金の状況や収支のバランスを把握する上でも、これらの資料には事前に目を通しておくといいでしょう。
自己破産をする場合
自己破産とは、裁判所へ破産申立書を提出し、これを認められるとすべての借金の返済義務が免除されるという手続きです。借金全額を整理することができるため、高額な借金に苦しんでいる人が最後の手段として用いることが多いようです。
ただし、誰でも破産できるのではなく、裁判所に支払い不能と認められるための根拠が必要となります。そのため、収入や資産についての提出書類も多く、高額な資産は処分しなくてはいけないなど、手続き完了までに手間も時間も要します。
自己破産で必要な書類
自己破産を検討したい場合には、まず以下の書類を準備しておくといいでしょう。
・住民票(3カ月以内の、世帯全員が記載されているもの)
・住居に関する書類(賃貸契約書、社宅証明書、建物・土地の登記事項証明書)
・預金通帳(すべての預金通帳)
・給与明細書(収入がある場合には申立て前、2カ月分)
・源泉徴収票・確定申告書
・金融会社のキャッシングカード、クレジットカード
これ以外にも、以下の書類が必要となる場合があります。
・戸籍謄本
・市民税・県民税課税証明書(住民税の課税額の証明書)
・不動産登記簿謄本
・保険証券・保険解約返戻金証明書
・車検証・自動車の査定書(インターネット上の査定画面のコピーでも可)
・年金の受給証明書・公的給付金などの金額を示す書類
・財産分与明細書・財産相続明細書など
・退職金を証明する書面(受領証明書や将来の計算書、もしくは退職金の額の分かる職務規定など)
自己破産の場合には、20万円以上の資産を所持している場合にはこれを処分して債権者へ譲渡しなくてはいけません。そのため、ほかの債務整理よりも資産関係の詳細な資料を必要とします。これらの書類は用意するのにも時間がかかるので、早めに準備するようにしましょう。
個人再生をする場合
個人再生とは、裁判所へ再生計画を提出し、これが認められると原則として借金総額の5分の1程度に大幅減額したものを36回払い(3年間)の長期分割で返済していくという手続きです。
任意整理と比較すると借金元本を減額できるので減額幅がかなり大きく、自己破産と違って資産の処分が不要となるので、持ち家や車のような処分したくない資産を所持している人が多く利用しています。100万円以下の借金に関しては減額することができず、5,000万円以上の高額な借金にも利用できません。
個人再生で必要な書類
個人再生を検討したい場合には、まず以下の書類が必要となります。
・住民票(3カ月以内、世帯全員分の本籍が記載されているもの)
・住居に関する書類(賃貸契約書、社宅証明書、建物・土地の登記事項証明書)
・預金通帳(すべての預金通帳)
・給与明細書(会社勤めの場合には申立てをする前、3カ月分)
・収入証明書(源泉徴収票・確定申告書)
・金融会社のキャッシングカード、クレジットカード
これ以外に、該当する場合には以下の書類も用意しましょう。
・住宅ローンの契約書・償還予定表(住宅を手放さずに個人再生を利用する場合)
・同居人の年収が分かるもの
・税金・社会保険料などの滞納金額が分かるもの(滞納している場合のみ)
・保険証券・解約返戻金額が分かるもの(解約する必要はないが、資料として必要)
・車検証・自動車の査定書(インターネット上の査定画面のコピーでも可)
・不動産の査定書・固定資産評価額証明書
・有価証券(株券・ゴルフ会員権など)
・公的扶助の受給額が分かるもの(児童手当支給決定書、年金通知書など)
・退職金を証明する書面(受領証明書や将来の計算書、もしくは退職金の額が分かる職務規定など)
個人再生の場合には、実際に資産の処分を行うことはほとんどありませんが、裁判所への提出資料としてさまざまな資産の証明書などを必要とします。これらの準備はもちろん、再生計画についても専門知識が必要な上、手続きが非常に複雑になっていますので、必ず司法書士に相談するようにしましょう。
どの債務整理がいいか分からないときは?
自分に合った債務整理の方法が分からないという場合には、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。アドバイスをもらうためには、債務者が何社と取引があってどのくらい借金をしているのか、過去に完済した借金はあるのか、収入はいくらか、資産はどの程度か、といったようなさまざまな情報が必要になります。 相談時には、以下のような書類を持参するといいでしょう。
・身分証明書(免許証など)
・借入や返済に使用している口座の通帳
・借金の残高が分かる物(利用明細書など)
・すべての貸金業者との取引契約書
・すべての金融会社のキャッシングカード・クレジットカード
・収入証明書(給与明細書や源泉徴収票)
・資産関係の書類(不動産、保険、退職金の額の分かる職務規定など)
・過去に取引のあった貸金業者やヤミ金の一覧
これらの資料から、収支のバランスや借金の状況を把握して、どのような債務整理が適しているかを判断してくれます。ここまでは無料相談で行ってくれる事務所も少なくないでしょう。書類を持参していない場合には口頭で説明する必要がありますので、手書きでもいいので書面にしておくと時間の短縮になります。
なお、どの金融会社と取引があったかということや借金残高が分からないという場合には、個人信用情報機関へ問い合わせをすれば、過去数年間の履歴をさかのぼることができます。
債務整理をするべきかどうか、どの方法にするか、専門家に依頼すべきか、などは無料相談をしてから決定することができます。相談することで自分の借金の状況を客観的に見ることもできます。一人で借金問題を抱え込んでしまうよりも、少しでも借金の負担を軽くするために司法書士に相談してみるといいでしょう。
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